◇2016年11月1日号
谷口健(編集部)
「現在の進め方のままでは3兆円を超えます」
小池百合子東京都知事直轄の都政改革本部の上山信一特別顧問は、9月29日に開かれた第2回都政改革本部会議で五輪予算が膨大に増える可能性があると明言した。
2013年の立候補時点では、7340億円だった開催費用の見込みは、14年に1兆円、15年7月に2兆円、15年10月に3兆円と、どんどん“水膨れ”している(30ページの図)。この底なしの増額には、小池知事から「1兆、2兆、3兆、豆腐屋ではあるまいし」という発言が飛び出した。
都政改革本部がまず照準を定めているのが、海の森水上競技場、オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナの「大規模3施設」だ。招致時には、それぞれ低い金額の見積もりだったが、海の森水上競技場に至っては69億円から7倍の491億円に膨れ上がった(29ページ図)。落札したのは、海の森水上競技場が「大成・東洋・水ing・日立造船異業種特定建設共同企業体」。有明アリーナが「竹中・東光・朝日・高砂異業種特定建設共同企業体」。オリンピックアクアティクスセンターが「大林・東光・エルゴ・東熱異業種特定建設共同企業体」だ。
ただ、問題は「大規模3施設」だけではない。
最も不透明な施設の一つが、東京・中央区の晴海(はるみ)地区にできる選手村だ。都は、選手村の整備と五輪後のまちづくりを一体で進める計画で、総事業費540億円を見込む。この開発は7月末に......
(『週刊エコノミスト』2016年11月1日号<10月24日発売>28~30ページより一部を転載)