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【どん詰まり中国】インタビュー津上俊哉 2016年4月12日特大号

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◇中国は投資バブル後遺症

◇早期底打ちは期待できない

 

 経済産業省で通商政策などを担当した現代中国研究家の津上俊哉氏に、中国経済の展望を聞いた。(聞き手=松本惇・編集部)

 

── 今の中国経済の置かれている状況について、どのように考えるか。
■過去6~7年、特に2010年以降の数年間の高い成長は、結果的には投資バブルだったと言わざるを得ない。高成長があと10年も20年も続くと思い込んだせいで、資産の名に値しない不効率投資をやり過ぎた。中国はよく不動産バブルと言われるが、そんな局所的な話ではない。経済のほぼ全局面で、借金頼みで過剰な投資をやってしまい、国全体のバランスシート(貸借対照表)が大きく傷んでしまった。
 2~3年前からニューノーマル(新常態)の標語で投資と借金にブレーキを掛けようとしている。そうすれば、経済が不況になるのは避けられないが、そこは我慢せざるを得ない。
── 今年は年初から世界の株価が下がるなど国際金融市場が大きく動揺した。
■中国の急減速の認知と、米国の利上げが重なり、下り局面のバイオリズムがそろってしまった。米国の3月の追加利上げは先送りされたが、問題は解決していない。また米利上げという話が出てきた時、同じことが起きる可能性はある。
── 中国は、どのように対処すればいいか。
■これ以上バランスシートが傷めば、経済に破綻が起きてマイナス成長、ハードランディングになってしまう。そうならないためには、不況がつらくても、投資と借金を圧縮していかなければならない。それには7~10年は優にかかるので、中国経済が近く底打ちするのではないかという甘い期待はしない方がいい。
── 明るい兆しはないのか。
■どこもかしこも不況で暗いということではない。今の中国経済を見渡すと、明るいセクターと土砂降りのセクターが混在している。明るいセクターはITやフィンテック(金融とITの融合)などのニューエコノミー。政府もニューエコノミーを今後の経済の成長点として育てようとしている。

 

◇通貨危機の可能性

 

── 一方で鉄鋼などの過剰生産は深刻になっている。改革はできるのか。
■もちろんニューエコノミーを育てるだけではだめ。鉄鋼や石炭をはじめとした重厚長大、国有企業中心のオールドエコノミーをダウンサイジングすることも重要になってくる。ただ、いわゆる「ゾンビ企業」を淘汰(とうた)すると言うのは簡単だが、万の単位の従業員を路頭に迷わせることはできない。実行可能なくらいに痛みを和らげる対策を打ちながら行うのは、本当に難しい。今後の中国経済は落第点もない代わりに優もとれない。70点くらいで終わるのではないか。
── それはどういう状況なのか。
■ニューエコノミーはそこそこ成長するも、オールドエコノミーのダウンサイジングは中途半端に終わるということ。例えば……


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