◇外国人が押し寄せる
◇山谷とゴールデン街のイメージチェンジ
大堀 達也/花谷美枝
(編集部)
朝の出勤ラッシュ時、JR南千住駅(東京都荒川区)から南に伸びる吉野通り沿いを歩くと、外国人バックパッカーが大挙して歩く光景を目にできる。彼らは、通り沿いの台東区日本堤1・2丁目と清川2丁目にある格安旅館の宿泊客だ。
この地域は、かつて「日雇い労働者の街」と言われた「山谷」の中心部。その山谷に、2000年代以降、多くの外国人旅行客が訪れるようになった。今では外国人だけで1年間に延べ10万泊という人気の宿泊地へと変わった。
山谷に外国人を呼び込む端緒になったホテルがある。漫画「あしたのジョー」の舞台として知られる「泪橋」の交差点からすぐの「エコノミーホテル・ニュー紅陽」だ。社長の帰山博之さんは「バブル崩壊の影響で減った宿泊客を呼び戻すために、2000年ごろ海外からの旅行客を狙って英語のホームページを開設したところ、予約が殺到した」と話す。・・・・ 山谷編の続きは本誌で
◇変わる業界人の街
山谷に負けず外国人に人気の街が新宿区にある。新宿区役所と花園神社に挟まれた一帯に、およそ280店もの飲み屋がひしめく「新宿ゴールデン街」だ。
昼間、店が開く前のゴールデン街は、歩いているのは外国人で、日本人はほとんど見かけない。夜になれば狭い路地に外国人があふれ返る。
ゴールデン街を形成する新宿三光商店街振興組合の事務員、和田山名緒さんは「グリーンガイドに掲載されたことで、一気に外国人が増えた」とす。グリーンガイドとは、レストランの評価を星の数で表すことで知られるミシュランガイドブックの旅行版で、世界的に読まれている。
ゴールデン街が外国人を引きつけるのは、間口が狭く平均4、5坪程度の2階建ての店が密集した、海外にはない建築だからだ。この特異な建築は「青線」、つまり非合法で売春が行われていた時代の名残で、1階で酒をふるまい、その後2階で娼婦が客を取るという形だった。戦後は1956年の売春防止法で、純粋な飲み屋街に変わる。・・・・・ 新宿ゴールデン街編の続きは本誌で