特集: アメリカ大失速
◇危うさを増す米国経済
◇利上げ・原油安で景気後退も
谷口 健
(編集部)
2月第2週。氷点下5度を下回る厳しい寒さのニューヨークでは、市場も凍りついていた。
「今年はリーマン・ショック並みのショックが来るのか見極めが必要。今年のマーケットは、いよいよヤバい(かなり悪い)かもしれない」
マンハッタンの中心部パーク・アベニューのオフィス街で働く日系金融機関の運用担当者は、同第2週に世界的な不安の連鎖で大きく荒れたマーケットを目の当たりにして、ため息をついた。
ピックアップ
経営者:編集長インタビュー
◇中村吉伸 セイコーホールディングス社長
◇「スイスに並ぶ世界の高級ブランドへ」
── 高級時計が売れています。
中村 商品と流通、広告宣伝が三位一体となってうまく回転しています。国内市場が好調なところに、訪日外国人(インバウンド)の買い物需要が上乗せとなりました。
当社は2012年に世界で初めてGPSソーラー時計(衛星から電波を受信して時刻を補正)、アストロンを発売しました。中心価格帯は20万~30万円で、それを機に消費者の目が高価格帯の時計に向かいました。
ワシントンDC
◇ロビー活動に年4000億円
◇積極的なボーイングやアマゾン
堂ノ脇伸
(米州住友商事会社ワシントン事務所長)
米国におけるロビー活動は、1946年に制定された「連邦ロビイング統制法」に基づき公然と行われており、活動する者には「ロビイスト」としての登録が義務付けられている。首都ワシントンを中心に現在、全米規模で約3万人のロビイストがいると言われ、その多くは企業内ロビイスト、あるいは弁護士事務所やコンサルタント企業に籍を置く人たちで、政府や議会などにさまざまな形で影響を及ぼしている。
政治献金やロビー活動資金の動きを監視する団体「センター・フォー・レスポンシブ・ポリティクス」の調査によれば、2015年に全米でロビー活動に供された資金の総額は32億ドル(約3500億円)。このうち、インターネット通販大手アマゾン、航空宇宙大手ロッキード・マーチン、石油大手エクソンモービルといった名だたる民間企業や、全米商工会議所、全米製造者協会といった業界団体等による当該支出の総額は7億1400万ドル(約800億円)に上る。