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戴シャープ社長 再建の自己採点は「6点」 にじみ出る旧経営陣批判

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 シャープの戴正呉社長は3月13日、週刊エコノミストなどのインタビューに応じ、就任後の経営について「(10点満点中)6点。合格点だが、やらなければいけないことはまだたくさんある」と自己採点した。また、シャープが東証1部復帰後の後継社長について、「いい社長を探し、教育したい」と、社内の日本人社員から登用する意向を示した。

 

 戴氏はシャープを傘下に収めた台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業から派遣され、シャープ社長に2016年8月13日就任した。構造改革を進め、シャープの17年3月期連結営業利益が474億円と、3年ぶりの黒字回復の見込み。

 

 戴社長が就任後からシャープに不利な契約解消を訴え続け、太陽電池事業の赤字を招いていた原材料の購入契約見直しを実現したことが大きい。シャープ株は438円(3月16日終値)と、昨年来安値の87円(16年8月1日)の5倍以上に上昇。時価総額は約8年9カ月ぶりに2兆円台を超えた。

 

 戴社長は「シャープの幹部のモチベーションが上がり、内部統制もしっかりした」と、経営再建の手応えを述べた。そのうえで、「国内はいい点数だが、海外はまだ不合格」とし、今後は海外事業の改善に注力する考えを示した。

 

 経営危機に陥った原因について、技術ではなく経営管理の問題でないかと問われ、戴社長は「私もそう思う」と答えた。「個人のことに言及するので」と言葉を選びながらも、12年に鴻海がシャープに出資し、アドバイザーとして経営にあたろうとしたものの、破談となった件を引き合いに、「町田(勝彦会長〈当時〉)さんの考えをもし実行できていたら、今のシャープはこうじゃなかった」と述べ、後継社長の経営判断が妥当ではなかったとの認識を示した。

 

 また、後継社長の人選の基準を問われ、「この7年間、シャープは社長が液晶を作り、副社長がソーラーを作った。相互にコミュニケーションがなく、仲も悪かった」と述べた。液晶事業を推進した片山幹雄社長(当時)と、ソーラー事業を推進した浜野稔重副社長(同)の確執を例に、内部統制を果たせる人材の登用を示唆した。時期については、「私とテリー(・ゴウ鴻海)会長で考えます」と述べた。

 

 戴社長はインタビューに先立つ会見で、日本電産に転職した大西徹夫副社長(同)が退職時に社員引き抜きをしないとした誓約書を振りかざした。シャープは社員流出が続いており、ヘッドハンティングを遠回しにけん制した形だ。

 

 さらに、シャープ創業者の早川徳次氏の遺族と2カ月に1度会食し、「これほど創業者を尊敬してくれる社長は今までいなかった」と言われたと明かすなど、旧経営陣批判を随所ににじませた。

(後藤逸郎・編集部)

*週刊エコノミスト2017年3月28日号FLASH!掲載


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