◇中国発デフレにおびえる日本企業
友田信男
(東京商工リサーチ情報本部長)
中国国家統計局は1月19日、2015年10~12月の実質国内総生産(GDP)が前年同期比6・8%増になったと発表した。15年暦年の成長率は6・9%と前年から0・4ポイント低下し、25年ぶりの低い伸びで中国経済の減速が浮き彫りになった。世界人口の約20%を占める中国の景気減速は、国内市場の縮小と世界的な需給バランスの崩壊を意味する。飛躍的に向上した中国の生産能力が生み出す過剰在庫は行き場を海外に求めていく。景気回復が足踏みする日本でも、中国発のリスクが見逃せない。
◇上場企業の2割が「リスク」
東京商工リサーチは、15年決算(1~12月期)の上場企業3620社を対象に、有価証券報告書で「事業等のリスク」に中国関連のリスク要因(チャイナリスク)が記載された企業を抽出した。
3620社のうち、約2割にあたる658社がチャイナリスクを事業リスクにあげていた。最も多かったリスク要因(複数記載)は、「政治・政策(法律、規制など)の変更可能性」の434社(構成比65・9%)だった。次いで「中国景気」が328社(同49・8%)、「テロ、災害、感染症など社会的混乱」が280社(同42・5%)、「為替変動」が259社(同39・3%)、「エネルギー供給の不安定ほか」が162社(同24・6%)と続く。
一方、高騰が懸念される「人件費」は43社(同6・5%)、「資材・原材料」は40社(同6・0%)にとどまった。上場企業のチャイナリスク認識は、コスト削減などで対応可能な部分より、カントリーリスクや景気減速など根本的な問題を重視しているようだ。
具体的には、「中国メーカーとの価格競争による販売価格のダウン」「中国からの余剰品の大量安値流入」「大幅減産による日本への輸出減による価格高騰」など業種によりさまざまなリスクを指摘している。
また、今年1月から3月18日までの適時開示情報で、中国の影響で業績予想の下方修正や損失計上を公表した企業は79社あった。産業別では、製造業が63社(構成比79・7%)と圧倒的に多く、卸・小売業は10社(同12・6%)、運輸・通信業は4社(同5・0%)だった。要因別では、「景気減速」が56社(同70・8%)、「子会社の悪化」が11社(同13・9%)と、中国との直取引や進出が景気減速により業績を直撃している。
チャイナリスクによる関連倒産は……