◇海外の原材料価格は5年で2倍
◇トップシェア商品でも減収覚悟
今年5月、「釜めしの素」を26年ぶりに値上げする丸美屋食品工業の阿部豊太郎社長に、決断の経緯や事業環境を聞いた。
(聞き手=後藤逸郎/藤沢 壮・編集部)
── 値上げの理由と見通しは。
阿部 値上げは 原価高騰の影響が大きい。原材料の7割を海外から調達しており、世界的な需給逼迫(ひっぱく)により、その価格は5年間で1.5~2倍に上昇している。近 年の円安も輸入価格を押し上げてきた。ゴマや卵、肉などは海外産を使う。特にゴマは、中国の内需拡大で輸出に回らず、中南米産なども高騰している。数年前
までの原油高で包装資材も高い。また、従業員の賃金は、正規・非正規とも上げている。各地域の相場より低ければ人材は集まらない。
15年7月には、ふりかけの容量を減らす形で実質的な値上げをした。「釜めしの素」の値上げ後の売り上げは一時的に落ちるだろう。だが、「釜めしの素」は、1970年に当社が先駆けて販売した商品だ。釜めしや炊き込みご飯の素の市場は200億円超だが、当社はトップシェアでリピーターが多い。値上げす
る8品目のうち、ナンバー1、2の売り上げは1年で回復すると見ている。当社は「釜めしの素」のほか、ふりかけ、麻婆豆腐の素という昔からの商品が売り上 げの8割を占め...…
(『週刊エコノミスト』2016年4月19日号<4月11日発売>85ページより転載)
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この記事の掲載号
定価:620円(税込)
発売日:2016年4月11日