◇GEが本社をボストンに移転
◇製造業のIoT化への大転換
加谷珪一
(経済評論家)
GEが、本社を米東部マサチューセッツ州ボストンに移転する。40年以上にわたって本社を置いてきた米東部コネティカット州フェアフィールドを離れるのは、急ピッチで進めている事業のデジタル化と大きく関係している。全米有数の学術都市に本社を構えることで、IoT(モノのインターネット)への対応を強化したい意向だ。
移転を決断した直接のきっかけは、コネティカット州で2015年に法人への課税強化の動きが出たことだといわれている。米国は州によって税制が大きく異なるため、大手企業は自社に有利な本社所在地を戦略的に決定することが多い。
だが、GEが最終的に移転先として選択したのは、相対的に税金が安い南部ではなく、ボストンだった。必ずしも低コストとはいえない地域に本社を構えた最大の理由は、ボストンが持つ学術的リソースである。
ボストンは、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)など55もの大学が集積している学術都市として知られる。GEの狙いがこうした学術機関の人材であることは、イメルト最高経営責任者(CEO)が「ボストンは研究開発に対してもっとも積極的な街」と説明したことからも明らかだ。………