◇最新の成形技術でトップに躍り出る
富岡浩司
(アジア株アナリスト)
知る人ぞ知る、インナー(下着)と機能性スポーツ衣料の世界的な製造業者。歴史は浅いものの、香港に本社を置き、ブラジャーでは世界シェアトップの規模を誇る。主な製品は、①ブラジャーやスポーツブラ、矯正下着などのインナー、②ブラ・パッドやその他の成形製品、③スポーツシューズや機能性シームレス・スポーツウエア──など3部門に大別され、2015年3月期の売上高構成比はそれぞれ70%、19%、11%となっている。
◇下着業界のジョブズ
世界的著名ブランドが主な顧客であることも重要なポイントだ。インナーの顧客リストにはリミテッド・ブランズ傘下のヴィクトリアズ・シークレットやヘインズブランズ傘下で「育乳ブラ」で有名なBali、PVH傘下のカルバン・クラインなど、スポーツ用品ではアディダスやリーボック、アンダーアーマー、ヘインズブランズ傘下のチャンピオンなどが名を連ねる。
また、高級品が主力商品であることから、地域別の売上高構成比は米国が70・5%、欧州が9・2%、香港が8・4%、中国が4・1%、日本が3・1%などと先進国に偏っている(15年3月期)。
独自のIDM(イノベーティブ・デザイン・マニュファクチュアラー)モデルで大きく伸びてきた。IDMとは単に他社ブランド製品を製造するOEMや、委託者・顧客のブランドのために製品を設計製造するODMよりもはるかに守備範囲が広い概念だ。まず、世界的な大手ブランドと密接な関係を持つことで、最新の業界トレンドや消費者の嗜好(しこう)をしっかり把握し、商品企画や開発の段階からメインの立ち位置で従事する。
次に、原材料メーカーや部材サプライヤーと提携して、独自の新素材や部材を開発する。更に生産段階においては、同社が誇る一体化成形技術やシームレス加工技術を使用することで、他社がまねできない差別化製品を生産する。商品開発はもとより、その部品の開発から生産、製品自体の生産方法まで、全てメインの立場で旗を振るわけだ。
例えば一つのブラジャーを製造する際には………