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激白!「津賀改革」5年目の挑戦 2016年5月17日号

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インタビュー

パナソニック 津賀 一宏 社長

 

◇10兆円の旗はいさぎよく降ろした。

失敗だったが必ず次につながる」

 

── 売り上げ10兆円目標を撤回した理由は何か。

■売り上げ10兆円は、(2年前の発表時点で予想できた)状況を維持できることを前提にしていた。ただ、例えば、デジタル機器の領域でマーケットの縮小が想定以上に激しい。さらに、為替相場では新興国の通貨安が進んでおり、(円建ての)売上高にはマイナスに利いている。本来、維持できると思っていたこの二つが想定外に傷んでおり、(売り上げの土台となる)発射台がどんどん下がっている。これでは2018年度に10兆円は無理だということで、その旗をいさぎよく降ろした(笑)。

 

 10兆円の旗を揚げてすぐに降ろすというのは、失敗といえば失敗だ。ただ、失敗を通して見えたこと、学んだことはたくさんある。例えば、これまで進めてきた多くのM&A(企業の合併・買収)や積極投資の決断は、10兆円の目標がなければできなかっただろう。大きな失敗でも小さな失敗でも、失敗から得られるところは大きい。失敗は必ず次につながる。そもそも成功だけの会社なんて全くおもしろくない。

── 利益重視の方針転換は社内で浸透したか。

■賛否両論というのが正直な結果だ。企業なので利益を尺度にするのは当たり前だが、私の説明が舌足らずで社内でも「成長より利益か」という誤解がある。ただ、ターゲット(目標)を利益に設定した方が、みんながそれに向けて努力しやすい。また、本質的なターゲットは、絶えずお客様の役に立ち続けることだ。目指すところはお客様に役立つことと、はっきりさせた上で、狙う数字の形が売り上げから利益に変わった。それだけの話だ。社内に対しても丁寧に説明したが、真意が伝え切れなかった面もある。

── 社長就任が12年6月。もうすぐ5年目に入る。改革の手ごたえはあるか。

■11~12年度に2年連続で出した大きな赤字(計1・5兆円)を止血すると同時に、成長戦略を進めてきた。成長事業の方向性を出したり、そのための施策を強化することは着々とできている。半面、その結果が出るまで思ったより時間がかかっている。

 成長戦略の事業では、売上高の成

長によって利益を成長させ、収益性が悪化しているところは収益性を改善させる。この両方の意味で、みんなが狙えるターゲットとして利益重視の言葉に変えた。利益を作り出していく体質は確実にできている。………


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