◇ペーパーカンパニーを海外に設立
◇「トラスト」活用し相続税対策も
荒川 雄一
(国際フィナンシャルコンサルタント/IFA JAPAN代表)
本格的にタックスヘイブンを活用する富裕層は、運用資金が数千万円から数億円といった資産を持ち、法人を利用して所得税額を減らすケースが一般的だ。
具体的には、図1にあるように、法人税が非課税のバハマなどに、プライベートバンク(PB)やコンサルティング会社などを通じて、ペーパーカンパニーを作る。
この富裕層は、設立したペーパーカンパニーの口座に自己資金を振り込む。目的は、投資や貸し付けとする。100万円を超す海外送金は、その利用した金融機関から税務署に報告がいくので、隠すことはできない。また、後日、税務署からその資金の出所や目的などのお尋ねがくることもある。だが、この時点では自分のお金を海外に振り込んだだけで所得は発生しておらず、気にする必要はない。そしてバハマのペーパーカンパニーを通じてさまざまな商品への投資を行えば、利益が出ても法人税が課税されない。また、日本に住むオーナー資産家は、この会社から配当を受け取らなければ、国内での所得も発生しない。
タックスヘイブンで持っている資金を使う場合は、クレジットカードやデビットカードを利用するケースがほとんどだ。そのペーパーカンパニーの法人用クレジットカードを作り、銀行口座を海外に開設してカードの引き落とし先に指定する。VISAやMasterのカードなら世界中で利用できる。
◇「対策税制」への対策
ただ、ここで留意しなければならない点がある。日本には「タックスヘイブン対策税制」という法律が......
(『週刊エコノミスト』2016年5月24日特大号<5月16日発売>28~29ページより転載)
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定価:670円(税込)
発売日:2016年5月16日