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【エコノミスト・リポート】トランプに乗っ取られた共和党 2016年6月7日特大号

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本当に大統領になるのか  Bloomberg
本当に大統領になるのか  Bloomberg

◇揺れる米社会と既存政党の倫理

 

マルガリータ・エステベス・安部(米シラキュース大学大学院准教授)

 

 今年の大統領選には、米国内の政治エリートらもすっかり頭を抱えている。「トランプ旋風」が従来の米国政治の常識をすっかり覆してしまったからだ。その破壊力に、政治を生業とするプロらが最も戦々恐々としている。

 

 米国の大統領選挙には、これまでもロス・ペロー氏のように経済力はあるが、政治は素人である一匹狼的な人が、単独の独立候補として名乗りを上げることはあったし、下院議員選挙で、例えば茶会運動のように、職業政治家が敬遠され、現役議員らが苦戦を強いられることも時折あった。しかし、今回のドナルド・トランプ氏のように、大統領候補が公認を獲得しようとする既存政党の組織そのものを批判しながら、その党の公認を勝ち取ってしまうようなケースは非常に珍しく、歴史的な事件と言えるだろう。

 

 共和党予備選の戦いを最後まで粘ったテッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)とジョン・ケーシック・オハイオ州知事が予備選から脱退することを表明した時点で、トランプ氏の共和党公認が実質上決定した。

 

 通常は夏の党大会を待たずに、実質的に予備選の勝者が決定した時点で、党全体が新しい大統領候補の支援を表明し、11月の対民主党との本選に向けて、党の一体化を図るが、今年は共和党内の足並みの乱れが目立つ。ネオコンの大物であるビル・クリストル氏、2012年の共和党大統領候補だった元マサチューセッツ州知事のミット・ロムニー氏らは、トランプを封じ込めるために単独の大統領候補を担ぐことまでも画策していると報じられている。

 本稿では、トランプ現象が共和党に、そして米国の政治エリート層にとって、何を意味するのか。さらには米国の民主主義にどのような意味合いがあるのかを中心に論じたい。……

 


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