◇金融政策超える相場の思惑
柳澤浩
(FXプライム by GMOチーフアナリスト)
国際決済銀行(BIS)は3年ごとに、外国為替市場の調査を行っており、現在入手可能な2013年4月時点の調査によると、全世界の外為市場の1日当たりの取引規模は平均5・3兆ドル(約580兆円)に達している。
07年4月調査での取引規模は同3・3兆ドル、10年4月は同4兆ドルと、市場規模は拡大傾向にある。今秋発表予定の新調査では、さらに拡大している可能性がある。
このように為替市場は世界最大の金融市場である。その取引規模の大きさゆえに、通貨の水準がわずかに上下しただけで、大量のマネーが動き他の金融市場にも大きな影響を与える。それゆえ金利をコントロールして通貨水準に影響を与える各国の金融政策は注目される。だが、市場参加者の思惑で相場の大きな流れができてしまうと、金融政策でも止めることができないこともあるほどだ。
◇圧倒的なドル取引量
国際間の決済に広く使われ、世界の基軸通貨と呼ばれているのがドルで、BISの統計では、ドルが関わる外国為替取引は全体の43・5%で、以下ユーロ16・7%、日本円11・5%と続く。一方、外為市場での取引を通貨ペア別に見てみると、全体の24・1%はユーロ・ドルで、ドル・円18・3%が続く(図1)。
このように、外為市場では、基軸通貨ドルが圧倒的なシェアを占めている。日本の場合、外為取引の通貨別内訳で7割超がドルと言われている。また、各国の外為市場での取引は通常、ドル対自国通貨中心に行われており、ドル以外の通貨の為替取引を行う時には、ドルを介したクロスレートを用いる。
このため、ある通貨が対ドルで急落すると、対円でも急落するという事態に陥りやすい。つまり、………