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ポケモンGO利用者は2億人超へ 任天堂の復活の命運を握る=今中能夫

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 ◇世界で大ブーム

 2016年8月9・16日合併号

 

 スマートフォン向けゲームアプリ(ソフト)「ポケモンGO」が、世界的なブームとなっている。配信が始まったのは、7月6日。北米や豪州、ニュージーランドで開始し、7月13日に欧州、7月22日には日本でも配信が開始され、瞬く間に世界の話題をさらっている。

 今中 能夫(楽天証券経済研究所アナリスト)

「ポケモンGO」旋風はどこまで持続するか Reuters 週刊エコノミスト 楽天 今中
「ポケモンGO」旋風はどこまで持続するか Reuters

 スマートフォン向けゲームアプリ(ソフト)「ポケモンGO」が、世界的なブームとなっている。

 配信が始まったのは、7月6日。北米や豪州、ニュージーランドで開始し、7月13日に欧州、7月22日には日本でも配信が開始され、瞬く間に世界の話題をさらっている。

 

 ◇配信直後に世界で1億人

 

 ポケモンGOがスマホにダウンロードされた数は、すでに世界で1億回を超えていると見られる。米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載のスマホでは、ダウンロード数が5000万~1億回となっている。このことから、米アップルのiPhoneやiPadを含むと、全体で1億数千万回はダウンロードされたと思われる。

 短期間で1億回のダウンロード数を達成するのは異例だ。英キングが2012年から提供する人気スマホゲーム「キャンディークラッシュ」は、世界で累計5億回である。一方、日本で「人気スマホゲーム」の代表格であるガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」が累計4100万回(16年3月時点)、ミクシィの「モンスターストライク」が3500万回(16年5月時点)であることからも、ポケモンGOの凄さがわかるだろう。

 ポケモンGOの基本的な遊び方は、ユーザー自らが街中を歩き回ることによって、ゲーム内の主人公を動かす。ゲーム内に出てくる地図は、実際の道路や公園と連動しており、スマホの位置情報システムを使ってユーザーの位置を認識している。つまり、歩き回っている場所が、ゲームの現場そのものだ。

 歩いていると、スマホ内の地図上にポケモンが現れ、それをタッチすると、スマホのカメラが起動し、AR(拡張現実)技術で実際の風景画像にポケモンが映し出される。出てきたポケモンに「モンスターボール(ポケモンを捕まえる道具)」を投げて捕まえて、その後、育てたり、他のユーザーと戦ったりして楽しむ。

 全国に無数にある「ポケストップ」と呼ばれる場所では、モンスターボールなどの各種アイテム(道具)を無料で手に入れることができる。ポケストップや、ポケモンが出現する場所は、地元で誰もが知っている名所旧跡や有名店、橋、路地などだ。

 街中を歩き回って、珍しいポケモンを探してもいいし、のんびり散歩しながらプレーしてもいい。さまざまな楽しみ方ができるゲームだ。家庭用ゲーム「ポケットモンスター」の遊び方と大差はないが、スマホを持ち歩いて遊ぶポケモンGOは、ゲームの新しい世界を切り開いたと言っていいだろう。

 ポケモンGOは基本的に無料で遊べるが、ビジネスモデルはユーザーへの課金が中心だ。アイテムを有料で買って、ポケモンをさらに強くしたり、ポケモンが出現しやすくすることができる。

 ただし、課金の方法は「薄く、広く」が基本。これまでの日本のスマホゲームは、射幸心をあおって高額な課金に導く「コンプガチャ問題」に代表されるように、少数の課金ユーザーが高額を使うのが一般的だ。このため社会問題にもなった。一方、欧米のスマホゲームは多数のユーザーを集め、その中の少数の課金ユーザーが少額の課金で楽しめるようになっている。これに対して、ポケモンGOは広範囲のユーザーから、少額課金でゲームを楽しめるこれまでにない課金タイプと言えるだろう。

 

 ◇グーグルから独立

 多くの人々は、「ポケモンGO=任天堂」と思い込んでいるようだが、実際はそうではない。ポケモンGOを開発、配信している会社は、米ベンチャー企業のナイアンティック(本社・米カリフォルニア州)である。

 ナイアンティックはもともと、グーグルの1部門が15年8月に独立した会社だ。同社は、グーグル、任天堂、「ポケットモンスター」の版権管理会社で、任天堂が32%出資するポケモン社(東京)などが出資している(図1)。

 では、任天堂の収益にはどの程度貢献するのか。ポケモンGOは、ナイアンティック、任天堂、ポケモン社の共同プロジェクトであり、任天堂への収益寄与は、ポケモン社を経由することになる。

 もう少し詳しく説明すると、ナイアンティックの課金売上高の中からポケモン社が「ポケットモンスター」のライセンス料と開発運営協力費を受け取る。ポケモン社の最終利益32%が、任天堂の営業外収益に持ち分法利益として計上される。17年3月期分は数十億円程度と推定される。

 ただし、任天堂は「ポケモンGOプラス」という胸や腕につける小型端末を9月にも販売を開始する予定だ。定価は3500円(税抜き)で、任天堂が製造・販売するため、利益は任天堂に直接入る。

 ポケモンGOプラスは、スマホと無線でつながり、近くにポケモンがいると振動や光で知らせてくれる。ポケモンGOプラスからボタン操作でポケモンを捕まえることもできる。スマホの画面を見なくても遊べるため、「歩きスマホ」の防止策としても注目される。筆者は3000万~4000万個...

 (『週刊エコノミスト』2016年8月9・16日合併号<8月1日発売>98~100ページより一部を転載)

この記事の掲載号

定価:720円(税込)

発売日:2016年8月1日

週刊エコノミスト 2016年8月9・16日合併号

 

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