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【電通】国際スポーツビジネス アディダス創業家と組み電通が飛躍 五輪やW杯を食らう闇のスポーツ人脈 2016年8月23日号

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電通のスポーツビジネスの成長の軌跡は、国際スポーツビジネスの成長と重な

り、現在の東京五輪やFIFA汚職疑惑に連なる人脈との関係が浮かび上がる。

 

小林 信也(スポーツライター)

 

 独スポーツ用品製造会社アディダスの創業者の長男、ホルスト・ダスラーと対立していた欧州サッカー連盟(UEFA)のアルテミオ・フランキ元会長は1983年8月、イタリアで自家用車を運転中に大型トラックと正面衝突し、死亡した。伊警察が事故死と判断したにもかかわらず、スポーツビジネス関係者は、ダスラーが刺客を仕向けたとうわさした。

 ダスラーはその後、ワールドカップ(W杯)を含む4大サッカー大会について、会場への看板掲出や大会ークの使用、放映権の販売といったビジネスを展開できる「マーケティング権」を押さえ、国際サッカー連盟(FIFA)のアベランジェ会長(当時)や国際オリンピック委員会(IOC)のサマランチ会長(当時)、国際アマチュア陸上競技連盟(IAAF。2001年に「国際陸上競技連盟」に名称変更)のネビオロ会長(当時)らの人脈も駆使して、スポーツマーケティングビジネスを飛躍させる。それは電通がダスラーと手を組んだ1980年代に同じく飛躍した経路でもあった。

 電通は77年、サッカーの神様ペレの引退試合を日本で開催、79年にFIFAワールドユース選手権を日本に初めて招致した。とはいえ、当時はサッカーW杯で力を持っていた博報堂を引き離す力はまだなかった。

 82年のサッカーW杯スペイン大会のマーケティングセールス権は、ダスラーがスポーツマーケティングの大家、パトリック・ナリーと共同経営していたスポーツマーケティング会社英ウエスト・ナリー社と組んだ博報堂が80年に獲得する。2人は共同設立したSMPI社を通じて、W杯や欧州選手権など四つのサッカー大会の権利を束ねた「インターサッカー4」を保有・管理しており、サッカー界への影響力が大きかった。

 一方、電通は81 年のIOC総会でも煮え湯を飲まされた。名古屋五輪招致を担当した電通は、前回開催地ソ連(当時)の政府高官から名古屋支持を取り付けるなど、優勢が伝えられていたが、最終的にソウルが名古屋を逆転し、大差で破った。

 ソウルを勝利に導いたのは、IOC委員へのロビー活動を進めたダスラーの力とされる。委員全員が宿泊する独保養地バーデン・バーデンのホテルで強力にソウルを後押ししたという。

『毎日新聞』(中部夕刊)99年1月28日付記事で、招致運動の最高責任者だった本山政雄・元名古屋市長はサマランチIOC会長を「おみやげや物にこだわる相当な食わせ物だった」と批判した。名古屋も接待に力を入れたものの、ダスラーとソウルはその上を行った。電通はダスラーの力を思い知らされた。

 

◇ロス五輪から商業化

 

 これに先立ち、電通は80年モスクワ五輪のマーケティング権を博報堂に奪われていた。次の84年ロス五輪の権利獲得は至上命題となり、大会運営の責任者であるピーター・ユベロス五輪組織委員長へ接近を図る。もともと五輪の開催に多くの市民が反対していたロサンゼルス市は、財政面で失敗が許されない状況にあり、実業家としての手腕に期待し抜擢したユベロスに思い切った仕事ができる環境を用意していた。

 田原総一朗著『電通』に、複数の電通社員がそれぞれのルートを駆使してユベロスに接近しようと画策する様が描かれている。その一人が、服部庸一東京本社連絡総務次長兼プランニング室長(当時)だ。行政が援助しない初の民間運営のため、放映権料の大幅増や業種別に募る新スポンサー方式を用意するなど資金確保に心を砕いていたユベロスを服部が落とし、ライセンシング権やスポンサーセールス権、入場券の取り扱い権など、放映権を除くロス五輪の権利を80年に得ることに成功する。

 それは服部や電通の成功にとどまらず、五輪の商業主義化やスポーツが巨額のカネを生み出す道への第一歩となった。

 

◇ダスラーとISL設立

 

 ロス五輪で自信をつけた電通は、ダスラーがウエスト・ナリーの運営を巡り共同経営者ともめていることを察知するや、ユベロスを通じてダスラーに接触した。………

この号の掲載号

定価:620円(税込)

発売日:2016816

2016年8月23日号

 〔特集〕電通

■利権と圧力編

 ・新国立8万人のウソから始まった五輪

   と神宮外苑再開発の複合利権

企業編

 ・危険なイメージを持つ電通の

  「企業」としての姿に迫る

インタビュー 生き証人・電通と私

 ・康芳夫/藤沢涼/中川淳一郎/立花孝志



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