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【電通】生き証人インタビュー 電通と私1:康芳夫 2016年8月23日号

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テレ朝のロス五輪放映権独占を阻止した

電通・NHK連合

 

商業五輪の皮切りとされるロサンゼルス五輪の放映権獲得競争で電通はどう動いたか。

(聞き手= 後藤逸郎/池田正史・編集部)

 

康 芳夫

(プロモーター)

 

 電通は1984年のロサンゼルス五輪で放映権以外の権利を獲得し、五輪ビジネスで飛躍した。放映権を獲得しない理由は、「特定の放送局に仲介すれば、残りの局は怒る」(田原総一朗『電通』)としてきた。だが、実はその陰で、80年のモスクワ五輪に続き独占放映権獲得に動いたテレビ朝日と電通・NHK・他の民放連合の暗闘があった。テレビ朝日の交渉人を務めた国際的なイベントプロモーター、康芳夫氏が電通の圧力を証言した。

 

◇裏で手を回す

―― 交渉で電通はどんなことをしてきたか。

 

 裏側で嫌がらせを受けた。はっきりとした嫌がらせなら「目には目を」で対抗した。しかし、こうしたことは大体、裏でやる。

―― 電通はなぜ妨害したのか。

 じっこんだったテレビ朝日の三浦甲子二専務(故人)に僕から話を持ちかけ、独占放映権獲得に動いた。電通は、民放が手を組むのは理想的だが、1社単独で手掛けるなら仕方がないと考えていた。ところが民放連合は、単独で独占放映権獲得を目指すテレ朝を「どうにかならないか」と、電通を抱き込んだ。

―― 交渉は進んでいたのか。

 もちろん。ロス五輪組織委員長のピーター・ユベロス氏から「契約してもいい」という話をもらっていた。だが、ユベロス氏も電通との関係を心得ている。ユベロス氏から状況を聞いた電通が焦って裏でいろいろとごね出したというわけだ。

―― 電通は誰が交渉したのか。

 服部庸一氏(当時の東京本社連絡総務次長兼プランニング室長、故人)だ。彼はなかなかのタマだ。裏に手を回された結果、三浦氏と僕は撤退を余儀なくされた。電通と民放連合に三浦氏が妥協してしまったのだ。僕も三浦氏の依頼を受けて動いていたから、彼が「もうやめよう」と言えばどうしようもない。

 2020年東京五輪招致疑惑の渦中にいる高橋治之元専務もその頃はまだ、服部氏の部下だった。

―― どうやって交渉したのか。

 僕はユベロス氏の顧問弁護士、ロバート・アラム氏と旧知だった。アラム氏はボクシング元ヘビー級世界王者モハメド・アリ氏の顧問弁護士を務め、その徴兵拒否を巡る裁判に勝ったことで有名になった。今年6月のアリ氏の葬儀を仕切った。

 僕が1972年、極東地域で初となるアリ氏の国内試合をプロデュースした時………

この号の掲載号

定価:620円(税込)

発売日:2016816

2016年8月23日号

 〔特集〕電通

■利権と圧力編

 ・新国立8万人のウソから始まった五輪

   と神宮外苑再開発の複合利権

企業編

 ・危険なイメージを持つ電通の

  「企業」としての姿に迫る

インタビュー 生き証人・電通と私

 ・康芳夫/藤沢涼/中川淳一郎/立花孝志



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