天皇陛下は、(1)憲法が定める「国事行為」(2)象徴天皇としての「公的行為」(3)「その他の行為」──を「仕事」としてこなしている。カレンダーは、宮内庁が公開している7、8月の日程だ。
政府関係者による国政報告や外国要人との面会、皇居での伝統行事と多岐にわたる。「書類決裁」のデスクワークも多い。
例えば、改正した法律の公布には天皇陛下の署名が必要で、何がどう変わるのかを質問しながら臨んでいる。また、通常火曜と金曜に行われる閣議の後に内閣から届く書類の決裁もある。宮内庁は「丁寧にご覧になった上で、ご署名やご押印をなさいます」と仕事ぶりを説明。昨年1年間で約1000件に上った。
「国事行為」にあたる閣僚らの任命式や、関連して国会開会式にも毎回出席する。「公的行為」には、全国戦没者追悼式など各式典への出席がある。式典などで述べる「お言葉」は、自ら推敲(すいこう)している。
「その他の行為」は皇居内で行われる宮中祭祀(さいし)などがあたる。神道の流れをくむ伝統行事のため、政教分離の観点で陛下の私的な活動と位置づけられる。土日祝日にもスケジュールが入り、葉山(神奈川県)や那須(栃木県)の御用邸で静養中にも面会や書類決裁をするほどだ。
地方訪問にも熱心だ。7、8月はなかったが、昨年1年間で国内15県29市11町を訪れた。昨年4月にはパラオ、今年1月にはフィリピンでの戦没者慰霊もこなしている。(了)
(『週刊エコノミスト』2016年8月30日特大号<8月22日発売>28ページより転載)
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