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【特集:シン・円高】クリントン新政権の財務長官は? 最有力候補は「ハト派」FRB理事=岩田太郎

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ブレイナード氏(54)は3女の母でもある Bloomberg 週刊エコノミスト
ブレイナード氏(54)は3女の母でもある Bloomberg

 ◇サマーズ氏の長期停滞論にも同調

 

 岩田太郎(在米ジャーナリスト)

 

 11月8日に投票が迫る米大統領選。8月中旬の複数の世論調査では、民主党のヒラリー・クリントン氏(68)が、ライバル共和党のドナルド・トランプ氏(70)に6~8ポイントの差をつけており、「クリントン大統領誕生」のシナリオが現実味を帯びてきた。では、「クリントン新政権」の財務長官は、誰が有力視されているのか。

 通信社ブルームバーグをはじめ、『フォーブス』や『マネー』両経済誌など、米経済メディアの論評では、米連邦準備制度理事会(FRB)理事のラエル・ブレイナード氏(54)が最有力視されている。

 ブレイナード氏は、早期利上げに一貫して反対する「ハト派」として知られる人物。ビル・クリントン大統領時代に財務長官を務めたローレンス・サマーズ氏(61)が唱える米国経済の長期停滞論(セキュラー・スタグネーション)に近い弱気の見方を持つ。

 

 サマーズ氏の見方に似ているのは偶然ではなさそうだ。ブレイナード氏は、1995~2000年までビル・クリントン大統領時代のホワイトハウスで、経済アドバイザーを務めていた。サマーズ氏が財務長官を務めたのは99~01年。つまり、政策立案で緊密に連携していた時期もある。事実、サマーズ氏は、「彼女は卓越した能力と鋭い政策の勘を持つエコノミストであり、交渉官としてのスキルも偉大だ」とほめちぎっている。

 ブレイナード氏は、グローバル経済が大きく揺れた10~13年、国際担当の財務次官を務めた。当時は、各国の財務大臣や中央銀行要人などと精力的に会合を重ねた。財務次官としてのブレイナード氏は、「疲れ知らずのタフな交渉官」(『ニューヨーク・タイムズ』)として評判をとった。欧州に対しては、国家負債問題でより効果的かつ大規模な処置を取るよう圧力をかけ、中国を通貨操作国として名指しすることは避けたものの、経済改革を急ぐよう迫った。

 

 ブレイナード氏は為替に関して、財務次官在職中の13年2月の先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で、「米国は日本が(アベノミクスや金融緩和で)成長を再加速させ、デフレ脱却に努力することを支持する」と、円安容認とも取れる発言を行い、相場が円安に大きく振れたことがある。

 ブレイナード氏以外には、米商品先物取引委員会(CFTC)の委員長を務めたゲイリー・ジェンスラー氏(58)の名も挙がる。79~97年までゴールドマン・サックスで働き、その後は、97~99年まで財務次官を務めた。09~14年まで、CFTCの委員長だった。現在は、ヒラリー・クリントン候補の陣営の財務責任者という最側近の一翼を担う。しかし、ウォール街と親密すぎるとして、可能性は低いとも言われている。

 

 ◇金融・通貨政策の「女性トリオ」

 

 

 ヒラリー・クリントン氏はドル高よりドル安を志向していると言われる。大統領選では......

 (『週刊エコノミスト』2016年9月20日特大号<9月12日発売>29ページより一部を転載)

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