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【人口でみる世界経済】生産年齢人口減少で先行きは暗い 2016年10月4日特大号

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1947年生まれ。東京大学経済学部卒業。経済企画庁調査局長などを経て、2003年から現職。10年日本経済研究センター研究顧問、12年理事。著書に『日本経済論の罪と罰』『日本経済に明日はあるのか』など。
1947年生まれ。東京大学経済学部卒業。経済企画庁調査局長などを経て、2003年から現職。10年日本経済研究センター研究顧問、12年理事。著書に『日本経済論の罪と罰』『日本経済に明日はあるのか』など。

◇小峰隆夫(法政大学大学院教授)

 

── 著書『人口負荷社会』(日本経済新聞出版社)で、「人口オーナス」による悪影響を解説した。

小峰 人口の変化の中で最も重要なのは、生産年齢人口(15~64歳)の減少だと考えている。「オーナス」は、重荷という意味だ。働いている人が次第に高齢者に移行し、少子化が進んでいるため、生産年齢人口が占める割合が低下する。

 人口オーナスは、さまざまな問題を起こす。第一に、労働力不足。第二に、生産年齢が「貯蓄をする人口」と考えると、社会全体の貯蓄率が低下し、日本の貯蓄率はゼロ、さらにはマイナスになる。将来、資金調達が必要な局面で大きな問題になる。

 第三は、社会保障だ。日本は「賦課方式」のため、年金・医療・介護制度の持続が難しくなる。

 第四に、地域が疲弊する。地域別の人口変化をみると、人口規模の小さい地域ほど負荷が重くなる。地域格差はますます広がることになる。

 第五が、民主主義の崩壊だ。有権者に働く人が減り、高齢者が増えることでいわば「シルバー民主主義」になる。日本が現在抱えている問題の解決を難しくする。

── まず何に取り組むべきか。

小峰 社会保障は、人口が伸びていた時代の制度が維持されている。7月の参院選でも、ほとんどの政党が社会保障を充実させると公約に掲げた。今必要なのは合理化で、問題解決と逆行している。それがシルバー民主主義の弊害だ。

 社会保障を維持する財源は、保険料、税金、国債の三つしかない。現実に起きているのは保険料の値上げだ。保険料は企業も負担するため、「雇用税」が増えることになる。企業に人を雇うなと言っていることと同じで、経済の活力を奪っている。

── どの程度のマイナスか。

小峰 人口は、年率マイナス0・5%で減る。また働く人だけが付加価値を生むと考えると、生産年齢人口が減ることで、1人当たり所得が減る。これがマイナス0・5%。合わせてGDP(国内総生産)にマイナス1%の下押し圧力がかかる。

 対抗するには、生産性を上げるしかない。人口オーナス期には、生産性がますます重要になる。

 

◇早急に社会保障合理化を

 

── イノベーションで人口オーナスの問題は解決するのではないか。

小峰 イノベーションで解決するのではなく、………

 

(『週刊エコノミスト』2016年10月4日特大号<9月26日発売>92ページより転載)

 

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この記事の掲載号

特別定価:670円(税込)

発売日:2016年9月26日

週刊エコノミスト 2016年10月4日特大号

 

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