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【東京五輪】特報 繰り返される「五輪ファースト」 住民を2度移転させる都政の愚 2016年10月11日特大号

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取り壊しが進む都営霞ヶ丘アパート
取り壊しが進む都営霞ヶ丘アパート

◇後藤逸郎(編集部)

 

 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、東京都は都営霞ケ丘アパートの取り壊しを進めている。神宮外苑の新国立競技場建設のため、アパートの敷地が必要との理由だ。リオのオリンピック・パラリンピックで日本の選手の活躍が報道されるさなかも重機がせわしなく動いていた。
 始まりは、都が12年8月26日に開いたアパート住民向け説明会だった。東京都都市整備局の担当課長はこの時、19年開催のラグビーワールドカップ(W杯)の会場となる新国立競技場のため、住民に移転を通告した。「国策です」と繰り返す都と唐突な移転話に住民は猛反発し、説明会は紛糾した。

 住民からは改めて説明会を求める声も出たが、都は2年以上たった14年11月に少人数での説明会を開いた。この時点で、移転の理由は東京五輪に差し替えられた。結局、住民が求めた全世帯対象の説明会は15年5月に開かれたものの、移転を求める都の姿勢は変わらず、住民が要望した一部建て替えも拒んだ。

 ◇移転巡る争いは法廷へ

 都は16年1月30日までに住民の退去を求め、約300世帯の大半は現地居住をあきらめ、別の都営アパートなどに移転した。
 しかし、3世帯は移転を拒み居住を続けた。都は7月まで住民に移転を求めたが、その後折衝を打ち切り、取り壊し工事を始めた。
 そして、都は居住を続ける住民のうち1世帯に9月、部屋の明け渡しを求める訴訟を東京地裁に起こした。10月12日に初公判の予定。訴えられた70代の女性は「裁判で東京都のウソを明らかにしたい」と話す。女性は移転する気持ちはあるが、モノのように動かそうとする都の姿勢への怒りが勝った。都職員の移転ありきの物言いも目立ったという。
 こうした「五輪ファースト」をうかがわせる話は他にもある。……


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