◇パンドラの箱を開けた
◇小池百合子の胆力
横山渉(ジャーナリスト)
池田正史/谷口健/荒木宏香(編集部)
「崖から飛び降りる覚悟で挑戦したい」。小池百合子(64)が東京都知事選出馬を表明したのは6月29日。所属する自民党都連や都議会自民党は別の候補者の擁立に向けて調整中で、小池の電撃的な出馬表明に慌てた。
都知事選では、他の候補者よりも遅く出馬を表明する「後出しじゃんけん」が有利とも言われる。投票日近くに表明すれば、有権者により強い印象を残せるからだ。
◇「2人のドン」との戦い
ところが、結果は小池の圧勝。291万票を獲得し、自民党都連が推す次点の増田寛也(64)に約110万票の大差をつけた。
小池が圧勝した背景には、知事選での都連のやり方に反発を覚えた都民がいる。都連は小池を支援する若狭勝(59)らを念頭に、所属議員に対して「非推薦の議員を応援したら親族を含めて除名する」と脅していた。また、選挙期間中、元知事の猪瀬直樹(69)が2011年に自殺した樺山卓司元都議会議員の遺書をネットに公開、「都議会のドン」と言われる内田茂(77)の存在を明らかにしたことも小池には追い風となった。
小池は8月2日の就任会見で「『都民ファースト』で透明性を重視する」と強調。密室で......
(敬称略)
(『週刊エコノミスト』2016年11月1日号<10月24日発売>18~21ページより一部を転載)