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【特集:家は中古が一番】「事故物件はめったにない」――大島てる

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買った家が殺人事件や自殺が起きた「事故物件」だったら──。事故物件の第一人者、大島てるさんに防衛策を聞いた。

 

事故物件情報を紹介するサイト「大島てる」で現在、日本全国で約4万件を掲載している。

 

4万という数字だけ聞くと、どこにでも事故物件があるように感じるかもしれないが、全物件数からみると比率はほんのごく一部だ。極めて例外という存在で、めったにない。

 

よく「不動産業者にだまされて事故物件を売りつけられるのでは」という不安の声を聞く。そういう悪い業者がいないとは言わないが、業者は売り主と買い主の間に入っているだけだ。売り主と一心同体ではなく、後にトラブルになるリスクを抱えてまで、だますインセンティブがない。

 

売り主が業者に真実を伝えないことはある。買い主とトラブルが起きたときに、矢面に立つのは業者だ。そのため業者は「保険」として、売り主から念書を取る動きが広がっている。「『事故はない』と売り主が言っていた」と責任を逃れるためだ。念書を取っておくという行動自体が、売り主に「隠し事はできない」というプレッシャーをかける意味がある。購入前には、業者に「売り主の念書があるか」など、事故物件でないことを確認しておくのがよい。

 

つまり、業者にだまされて事故物件を買うリスクは高くないということだ。仮に「事故物件であることは隠すが値下げする」という選択を取られたとしても、マンションなら他の部屋と比べてその部屋だけ大きく値下がりしていたら不自然で、隠し通すのは難しい。

 

ただし、業者が意図的にだますつもりはなくても、購入後に周囲から「こんな事件があった」と知らされるかもしれない。知らずに購入してしまった場合、売り主相手に訴訟を起こせば、告知義務違反で慰謝料など損害賠償を取れる可能性は高い。しかし、費用や労力がかかる。後悔をしないように、事前に情報収集して、自己防衛する際に役立つサイトになればと思っている。

 

「大島てる」を作ったのは2005年。当時は不動産業に携わっており、入居者に敬遠される「わけあり」物件をつかまされないように「専門家」を探したが、いなかったからだ。集めた情報を無料で公開することで、「間違っている」「漏れている」という反応があるのではと期待した。

 

ウィキペディアのように、自由に投稿できる。間違いはあり得るが、衆人環視の中、遅かれ早かれ指摘されるという「みんなで裏を取る」運営手法だ。誤報は淘汰(とうた)され、長い目で見れば正しい情報だけが残る。

「炎上」しているのが事故物件
「炎上」しているのが事故物件

 ◇殺人現場なら半額も

 

中には事故物件だと納得した上で、買いたいという人もいるだろう。統計があるわけではないが、殺人事件の現場なら4~5割、自殺は2~3割、孤独死は1~2割、周辺の相場より安いという印象だ。

 

一般業者には扱いが難しいことから、事故物件は一部の業者が専門的に扱うようになっている。業界で最初にこの分野に特化したといわれているのが「アウトレット不動産」だ。ほかにも検索すればいくつかの業者を見つけられる。

 

事故物件で注意しなければいけないのは、決して非科学的なことではないという点だ。例えば、強盗殺人の現場になったマンションは、防犯上何かの問題がある。対策が取られていないかぎり、再び起きてもまったく不思議ではない。

 

マンションのような集合住宅は一つの「村」だ。事故物件に入居しようというあなたは、周囲の住民にとっては「異物」。事故物件は価格を下げなければ入居者が見つからない。通常の価格ならそこを手に入れられない「ふさわしくない住民」が入ってきたと受け止められる。他の住民とは、生活リズムなどすべてが異なる。格差があるという覚悟をして買うことが必要だ。そうでなければ、あなたが「事故物件」を生み出すトラブルの原因になるかもしれない。(了)

 

 (『週刊エコノミスト』2016年11月8日号<10月31日発売>32ページより転載)

 

サイト「大島てる」

http://www.oshimaland.co.jp/

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この記事の掲載号

定価:620円(税込み)

発売日:2016年10月31日

週刊エコノミスト 2016年11月8日号

 

〔特集〕 家は中古が一番

 

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