特集:弁護士vs会計士・司法書士
聖域失い敵陣で戦うサムライ業
弁護士、公認会計士、司法書士は、難関国家資格の「士(さむらい)業」の代表格だ。司法制度改革後に右肩上がりで増えた結果、同じ資格同士だけでなく、隣接士業の仕事を食い合う仁義なき戦いを繰り広げる。
弁護士は従来の民事・刑事から、企業の経済活動に伴う「企業法務」に勢力を拡大した。企業・経済の成長が伸び悩む中、もともと企業に強かった会計士と市場でぶつかるようになった。企業統治(コーポレートガバナンス)の重視による社外取締役、監査役はその主戦場だ。
成長の源泉をM&A(合併・買収)に求める企業が増え、正確さと早さが求められるデューデリジェンス(資産査定)は弁護士だけでなく、会計士の参入が本格化している。
一方、弁護士と領域が重なる司法書士は従来、専門分野を担う弁護士が手がけない業務で住み分けができていた。しかし、2006年の最高裁判決が過払い金返還を認め、返還請求バブル発生で環境は激変した。司法制度改革による弁護士間の競争のあおりで、司法書士が担っていた過払い金返還に弁護士が乗り込む。16年の最高裁判決で「司法書士が扱えるのは債務額140万円まで」としたものの、司法書士が撤退する動きはなく、成年後見人を巡っても、戦いは収まる気配がない。
士業はパイの奪い合いに終始するのか。それとも自ら新たな業務を見いだすのか。ガチンコ勝負の先はまだ見えない。
(酒井雅浩、稲留正英、黒崎亜弓・編集部)
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