◇我が社の為替展望
◇富士重工業、伊藤忠商事、ANAホールディングス、富士通ゼネラル
年初から進んだ円高で多くの企業が想定為替レートを見直した。担当者に為替相場の見方や相場変動への対策を聞いた。(編集部)
■富士重工業「想定レートを前年度比16円円高に」
高橋充(専務執行役員・CF〈最高財務責任者〉)
2016年度のドル・円の想定為替レートは、前年度の1ドル=121円(実績値)から同105円に設定した。同レートの算出に使った4月の実勢レートが105~110円で推移していたからだ。
4月の平均実勢レートは107円程度だが、2円円高に見たのは当社が円高で利益が減る輸出企業だからだ。107円を前提に業績見通しを立て、実績値が105円だった場合、利益計画を下回る可能性がある。これは株主にとって心地よいものではない。
当社は、ドル・円が1円動くと約100億円営業利益が増減する。為替感応度は高い方だ。これは、日本で自動車を生産して米国に輸出する割合が多いためだ。生産コストは円、売り上げはドルという企業は為替の影響が大きい。昨年度は円安により営業利益が1084億円増加したが、今年は一転、円高で1686億円の減少を見込む。その分、販売台数を伸ばして利益を上げたい。
当社のクルマは米国で人気が高い。15年の米国販売台数58万3000台に対し、米国工場の生産能力は20万台と3分の1にとどまる。そこで今年、米国工場の生産能力を増強する。これで為替リスクも軽減する。
為替ヘッジは、単純な先物予約に絞っている。相場の先読みは困難だ。常に向こう3カ月分を為替予約する。………