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【暴れる通貨】国際化進展で市場の洗礼 2016年2月23日特大号

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◇外貨準備浪費が招く元安スパイラル

 

斎藤尚登

(大和総研主席研究員)

 

 

 中国・人民元の下落が市場の波乱を招いている。2016年2月上旬時点では、昨年8月の人民元切り下げ以来、対ドルで7%近く下落。中国景気の先行き不透明感から元安が進み、元安による資本流出が国内経済を一段と下押しする懸念が広がっている。当面のリスク要因は、外貨準備の「浪費」である。元安(ドル高)圧力が高まるなか、それを通貨当局が日常的な元買い介入で阻止しようとすればするほど、外貨準備は減り、さらなる元安観測が高まり、資本逃避の動きが加速するというスパイラルに陥る可能性が否定できなくなる。

 

◇対話の欠如が招いた混乱

 

 昨年の人民元切り下げ以降、人民元レートの動きや当局の為替政策を巡りさまざまな思惑が飛び交い、世界の為替・株式市場が動揺することが繰り返された。

 人民元に起きている異変の根本には、人民元の国際化、金融・資本市場の対外開放の進展により、かつては強固であった中国人民銀行(中央銀行)による人民元レートの制御能力が徐々に弱まっていることがある。人民元国際化について、中国が人民元建て貿易決済を認めたのは09年7月からと日は浅い。しかし、その後のスピード感には目を見張る。

 15年にはモノの人民元貿易決済額は6兆3911億元(約115・7兆円)と、中国の貿易に占める人民元決済の割合は25・7%に達した。


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