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【中国 ゾンビと政争】英国の離脱で強まるEUとの関係 2016年9月13日号

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AIIB&「一帯一路」構想に邁進 Bloomberg
AIIB&「一帯一路」構想に邁進 Bloomberg

◇AIIB&「一帯一路」構想に邁進

 

羽場久美子

(青山学院大学教授)

 

 英国がEU離脱を決定した衝撃はいまだ欧州全体を覆っている。離脱期限までの2年間、英国とEUとの交渉は難航が必至の情勢だ。英国がEU離脱の経済的衝撃を緩和するため、中国に接近するという予測が当初からあった。実際はどうであろうか。

 2015年末にアジアインフラ投資銀行(AIIB)を中国が提唱した際、英国は真っ先に参加を表明した。仏独伊が続いて最終的には57カ国が参加し、さらに30カ国が加盟予定とされる。中国の孤立化を図ってきた日本が、強いショックを受けたことは、記憶に新しい。
  AIIBの例に象徴されるように、中国と英国、EUは関係を強めていた。それゆえ筆者は、英国がEU離脱に伴う経済対策のために中国に接近するだろうと、 国民投票直後に指摘した。ボリス・ジョンソン外相も親中派であり、フィリップ・ハモンド財務相も16年7月末、中英FTA(自由貿易協定)締結に向けて強 固な英中関係を築くと発言した。
 さらに、中国が英国に対して、原子炉の導入をはじめとする7兆円の投資計画を進めるなど、中英関係は蜜月が続いていた。
  しかし、中国は英国1国よりもEUを重視しているようだ。これまでに中国は、ドイツのアンゲラ・メルケル首相を9回も招聘(しょうへい)している。メルケ ル首相の訪問は、日本の3回(うち2回はサミット)と大きな差がある。中独関係は、実は英国以上に強い。中国にとって英国は、EUの指導国としての意味は あった。だが、筆者が7月に香港の経済学者を訪問した際、EUから抜けた英国は中国にとって、もはや重要とは言えないとの意見を聞いた。......

 

(『週刊エコノミスト』2016年9月13日号<9月5日発売>27ページより転載)


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